スタートしたばかりのクリエイター支援プロジェクトですが、どんどん面白い企画が生まれつつあります。
第二弾はなんと衣装アーティストの田村香織さんからの応募がありました。
田村香織さんは、ダンサーやサーカスパフォーマーなどに衣装を提供する新進気鋭のアーティスト。横浜の若手コンテンポラリーダンサーの登竜門「Yokohama Dance Collection 」では田村さんの衣装を身に着けたダンサーが何人も参加しています。皮膚にまとわりつくようで、軽やかでもある独特の衣装のセンスは、すぐ彼女のものだとわかります。
今回、田村さんは谷中にある古民家である平櫛田中邸を再生し活用するアートプロジェクトDenchu Lab.の公募アーティストに選ばれ、HappyFabricの布を使用したいと連絡をいただきました。
この平櫛田中邸はもともと著名な彫刻家のアトリエだった場所。
大正時代からある建物には、今はない建具や家具などがあり、独特の佇まいです。今回の田村さんのプロジェクトは、その建物の窓や建具などさまざまなところのモチーフをトレースし、そこからファブリックデザインを起こし、衣装にするというもの。
作品タイトルは「田中邸を纏う Get into Denchu」
人のからだを中心に、その周辺を覆うものとして衣装と建築には多くの共通点類似点があります。衣服のシルエットは建築物の大きさ、部屋の形のようです。釦やファスナーの着脱構造・開閉部分は家の扉や窓。布の模様は壁や障子紙の柄のようです。田中邸を訪ねた際に印象に残った、入り組んだ間取り、窓の格子、窓ガラスの凹凸が成す模様などをデザインに落とし込み田中邸を『纏う』(=get into)試みをします。普段は舞台裏となる制作過程の記録や、過程で派生する品々、また出来上がった衣服の試着、販売もします。
こちらがそのイメージスケッチ。
そのアイデアどんな風になっていったかというと、、
これが実際に建物をトレースし、着色したスケッチです。
まずは台所の食器棚のガラス。
ファブリックのデザインになると、、
こうなります!
こちらは、今はない昔の窓ガラスですね。
色味を赤系にすると雰囲気が一新しますね!
フロッタージュと呼ばれる技法で表面をこすり、写し取っています。
どういう気持で絵を描いたか聞いた所、「なぞった感覚を延長してデザインした」とのこと。
衣装デザイナーだけあり、表現もどこか身体的です。
続いて出窓の金具のスケッチ。
これが、こうなります。上品な和柄の雰囲気です。
続いて、田中邸の窓から見える植物のスケッチ。
病気がちだった娘さんが横になりながら見ていた庭の植物をモチーフにしたそうです。
田村さんはスケッチやコンセプトワークや衣装製作は得意ですが、ファブリックデザインとして模様に送りをつけるのはちょっと手こずっていたので、HappyFabricでお手伝い。とてもステキなものになりました。
実際に作ったのは、田中先生が来ていた作務衣をイメージしたものや、娘さんが見ていただろう風景をモチーフにしたワンピースなど。
建物に住んでいた人々の息遣いが感じられる、叙情性豊かな作品たちです。
ボタンも建具から石膏で型をとり、それを3Dスキャンし大きさを変えて3Dプリンターで出力したものだそう。下記は試作中のものだそうですが、ころっとしていてかわいい!
古い建物の佇まいを衣装に映し、新しい技術で形にする。
そんなスタイルにHappyFabricチームもぐっときました。
最後に、ブラウスとパンツを来ている田村さんを、田中邸のアトリエでパチリ。
「ブラウスは、袖と襟が取り外せて『建増しできる服』として作りました。
会期中は会場にいることが多いそうなので、声をかけてみてくださいね。今も昔もここでアーティストが創作活動をしているなんてすてきですね。
HappyFabricはアーティスト活動の支援も積極的に行っていきますので、乞うご期待!
展示期間は下記の通りで実施されました。(現在は会期が終了しています。)
大好評だったとのことで、嬉しい限りです。
[会期]2018年2月23日(金)〜3月4日 (日) 開場時間/11時〜17時
[会場]旧平櫛田中邸(東京都台東区上野桜木2-20-3)
[アクセス方法] JR鶯谷駅より徒歩10分
[入場料]500円
クリエイター支援プロジェクトについて詳しくはこちらから。
HappyFabric(ハッピーファブリック)はオリジナルデザインの布が1mから購入・作成・販売できるサービスです。
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